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河合香織『セックスボランティア』

最終更新日:2008年2月11日

(以下の書評は2007年2月26日にブログにて発表済です)

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セックスボランティア (新潮文庫)
河合 香織
新潮社 2006-10

そして殺人者は野に放たれる (新潮文庫) 私は障害者向けのデリヘル嬢 累犯障害者 遺品整理屋は見た! セックスエリート―年収1億円、伝説の風俗嬢をさがして (幻冬舎アウトロー文庫)

by G-Tools , 2008/02/11


文庫本ベストセラー置き場にあったので、題名に惹かれて購入。買ってよかったです。障害者の性の問題がリアルに、多方面に書かれています。健常者が障害者の性を無料で援助するセックスボランティアから、障害者の性風俗、男性の性欲、女性障害者の性欲、障害者同士の結婚後のセックスなどなど。性欲について赤裸々に書かれているので、自分自身の性に対する考え方が、意識されてきます。

子供の頃は、1年に1回くらい、夜眠る前、地獄に落ちたら閻魔様に舌を抜かれるんじゃないかと想像して震えていたけれど、28歳ともなった今では、1ヶ月に1度くらい、自分は結婚することなく、今後セックスすることもなく死んでいくんじゃないかと思い、身を震わせています。

それはあくまで想像して感じる恐怖だけど、実際、誰とも結婚できる可能性がなく、性に絶望しながら死んでいく人、本人は結婚したいのに、親から結婚を禁止されている人などがいることを知って、世界に悩みました。障害者の性の問題は、結局、障害者が子どもを産んだらまた障害者が生まれるんじゃないかという健常者側の恐怖というか憶測というか不安というか偏見に行き着きます。

女性障害者の性の問題は、出産という次の段階も絡んでくるし、みんなで考え、知って欲しいことだと思いました。

性は楽しむもの、性は当たり前のもの、性とは心を生かすこと、性は人生になくてはならぬもの。いろいろな性についての言葉。セックスの可能性のない人生は哀しく、寂しい。

自ら望んでセックスをしないなら別にいいけれど、社会や誰かから強制的にセックスを禁止されるなんて、やるせないことです

まあとにかく一度手にとって読んで欲しい本です。

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